親が覚えられる会社への就職

大学を卒業して、希望の業界に就職ができた。
でも残念なことに、母たちは、会社の名前を覚えきれない。
私が就職したのが、アメリカに本社を持つ横文字の会社だったからである。

母たちがイメージするのは、日本の会社名がほとんどである。
いくら世界的には評価の高い会社であっても、自分たちが使ったこともなければ、縁もない会社は覚えていない。
ましては、カタカナ表記の会社は、若い人たちにはかっこいいと思われても、母たちの世代には、横文字のわけのわからない会社ということになる。
IT業界ではあったが、いわゆる白物家電を扱う会社ではなく、コンピューターの会社に就職した。
そのあと、転職をした先も、企業向けのITサービスの会社であり、母たちの生活からどんどん遠ざかっていったように思う。
結局、いまだに名前を覚えてもらった会社はない。
妹はといえば、おなじIT業界であったにも関わらず、日本の総合家電メーカーにはいったので、しっかり名前を覚えてもらっている。
同じような仕事をしているのだが、ちょっと不公平感は否めない。
母に覚えてもらったからといって、なにかうれしいことがあるかといえば、そんなことはないのだが、ちょっとさびしい気もする。
とはいえ母は、苦肉の策で、私の名刺をいつももっていて、聞かれたら見せるらしい。
確かに確実ではあるが、母に娘たちの会社の話をする人たちは、母の友達であり、生活環境も似ているので、結局は、私の勤務先はおぼえてくれないのだろうなと思っている。

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